中野 有

理事長 中野 有

龍谷大学 社会学部 教授
京都大学 経済学部 非常勤講師
元 国連職員
元 ブルッキングス研究所 Visiting Fellow

Message メッセージ

地球のリズムに適った異文化交流

近未来は、自ら創造するものである。


冷戦後の世界は、グローバリゼーションと市場経済の恩恵を受け発展してきました。しかし、現在は米国の金融危機に端を発した歴史上類のないグローバル経済の危機に直面し、その不況の底を確認できない状況にあります。各国の経済や社会が、グローバルに相互補完的に影響しあう構造においては、国単位の国家戦略に加え、地球上すべての生きとし生けるものへプラスに作用する異文化交流の理解と促進が必要不可欠であります。

歴史上、多くの困難を乗り切ることが出来たのは、孔子、釈迦、キリスト、モハメット、ソクラテス、プラトン、そして、リンカーンや竜馬、アインシュタイン等偉人の「先見の明」があったからに他ありません。これら偉人と我々の違いは、どこにあるのでしょうか。

先人は満天の星を観ながら宇宙観に浸りその時代を切り開く深遠なる思想・哲学・ビジョンを形成してきました。しかし、人類史上、地球そのものを視野に捉えることが可能となったのは、ソユーズ、アポロなど、スペースシャトルを始めとした宇宙船と人工衛星の技術力のおかげです。今、我々は、先人が気づかなかった 宇宙にひと際青く美しく輝く地球をリアルタイムで眺望することができるのです。

その宇宙から映る地球には、国境は存在していません。宇宙の空間を何億光年旅しても地球ほど美しい星に遭遇する確率は低いと言われています。この神秘的な地球に生まれ、人類史上最も豊かな今に生きていることは、極めて奇跡的な有難いことなのです。リアルタイムで映し出される地球を見つめながら地球のために何ができるか を考察し、地球益のための具体的な活動を実らせることが、我々に課された使命ではないのでしょうか。

東西の思想に違いがあるように、人類の進歩のためには、自然を克服しようとする考えと自然と調和しようとする考えがあります。後者の考え方が根源にある日本の自然観・哲学・多元主義は、自然災害をも自然の摂理であると考え、宗教においても寛容であり、異なったものを認め調和し発展させる推進力が秘められているのです。

オバマ大統領旋風によりアメリカがチェンジし、世界も新たなパラダイムのシフトが起こっています。自然や宇宙と調和することの大切さを理解している日本人は、今こそ地球のリズムに適った異文化交流や世界が享受する地球安全保障への道筋を指し示す歴史的役割を担っていると考察されるのです。

近未来は、自ら創造するものであります。単に予測するのではありません。地球益に適った構想を、知的・経験的直観力と自然や宇宙に直結した感性で描き(Think)、古今東西の文献や見識あるセミナーやシンポジウムを通じ学び(Learn)、独自な発想と(Independence),高度で鋭い(Quality),インパクトのある(Impact)構想をタイムリーに発信する(Lead)ことが求められています。 一般財団法人 アジア・南洋協会が目指すものは、地球を眺望しながら、世界中の異なる文化・国籍・宗教・政治・経済・社会を理解し、建設的な対話を促進し、文化交流や経済協力などのソフトパワーに加え、賢明なスマートパワーを通じ、地球益のために貢献することにあります。

世界が混沌とし、変化し、パラダイムのシフトが発生している今、一般財団法人 アジア・南洋協会は、日本で最初の財団法人として百年近くの歴史を有する南洋協会の理念を貫きながらも21世紀が希求する明確な構想を発信し、日本やアジアのみならず美しき地球のため、世界にインパクトを与えるべき真のシンクタンク活 動を実践していく所存です。

Chairman Tamotsu Nakano 理事長 中野 有