2 月 09

世界のいくつかの組織で勤務し、日本の大学で教えはじめ4年の歳月が流れた。卒業まで学生が過ごす4年間を振り返ると、確実に就活という厄介な問題に学生がチャレンジする真剣さが年を追うごとに増している。3回生のはじめから就活に取りかかる学生は、次第に講義への出席率が落ちる。そうなる事が分かっているので1,2回生は真面目に講義に出席する。一昔前と比較すると今の学生、いや正確には1,2回生は真面目である。

大学で専門分野をしっかり勉強できるのは、教養を身につけた後の3回生からである。その時が就活に重なることが大学のレベル低下につながっている。さて、そこで学生と企業の両者にプラスとなる就活の理想を考察してみたい。

不況の影響で学生は親に頼ることができず授業料をアルバイトで稼ぐ必要が増している。90分の講義に出るのに学生は約4000円出資している。授業料と講義数を割ればだいだいこのような金額になる。一方、アルバイトの時間給は伸びておらず平均1000円とすると一つの講義に出るのに4時間働かなければいけない。
このような話を学生の前ですると必ず学生の態度が変わる。意欲のある学生はアルバイトの4時間以上の成果を勉学に求めてくる。教員もそれに応えるべく毎回の講義で学生が満足する教養や専門知識を提供しなければいけない。

アメリカの大学で教えている時、3時間の連続講義を行うのに数冊の本を精読し、実社会で習得したユニバーサルな法則なりを示し、学生との質疑応答や意見交換に講義の半分を費やしたものである。アメリカの授業料は日本より高いので学生が満足する講義を提供するため教える側も真剣勝負で臨む必要があった。

日本の学生もアメリカの学生のように費用対効果の成果をあげるために学業に真摯に臨まなければいけない。そのように考えると「就活のために講義を休みます」という学生を減らすような対策が不可欠である。企業は優秀な学生を採用しなければ昨今のグローバリゼーションの波に押し流されてしまう。大学は優秀な学生を育成する義務があり、また学生も厳しい経済状況や国際情勢の変化に対応するために専門知識を大学で習得しなければいけない。学生と企業の共通の利益の合致点は、大学の本来の目的である教養と専門知識を学生が習得することであり、それが会社や社会で活かされることである。今の世の中、企業人が持っていないような柔軟なグローバル社会で通用する発想を持ってこそ就職戦線に勝つことができるというぐらいの高尚な考えを学生が持つべきである。

学生が大学に通うのは、年に7、8ヶ月である。5ヶ月近くが自由な時間である。この自由な時間を就活に役立てる方法、即ちキャリアパスの糧とすることが大切である。大学の休み中に就活を行うという不文律を共有すべきである。要するに企業は将来採用の可能性が高い優秀な学生を大学の休み中にインターンとして働く機会を提供し、学生は休暇中に学費等を賄うことが可能となれば企業にとっても学生にとっても両者プラスとなるのではないだろうか。

フランス発のAIESECという大学生の企業インターンを提供する組織がある。日本の大学でもかなり浸透している大学インターンシップである。海外で大学院の学生の時、AIESECを通じアメリカで夏の企業研修を受ける機会を持った。かなり充実したプログラムで将来へのキャリアを描くきっかけになった。このように日本でももっとインターンシップの充実に務める必要があろう。

円高、空洞化の影響で海外で即戦力となる学生を企業側は求めている。例えば、青年海外協力隊の制度を通じ海外に赴任した人材をもっと積極的に企業は採用すべきであろう。開発援助の専門家というと少し重い感じがする。青年海外協力隊も志願者が減少傾向にある中、この制度を通じ本格的なインターンシップとして再考するのも一案であろう。学生が卒業すると同時に青年海外協力隊の制度を通じ1、2年の途上国経験を積み、その後、現地に進出している日本企業に就職することができるというキャリアパスを充実することが大切である。企業側からみれば税金で優秀な人材を教育できるという視点でグローバルな教育戦略として有効であると考えられる。

東大が秋入学に移ろうとしている。世界の奔流に同化することで世界から優秀な学生が集まる。同時に就活も世界の常識に同化させることでグローバル社会で通用する優秀な学生が生まれ企業や大学にとっても日本国にとってもプラスとなろう。

12 月 07

革命の予兆としてのパラダイムの確変が起こっている。大阪のダブル選挙が日本の常識を覆した。日本の全ての政党を相手に橋下氏の野望が民の心を捉えたのである。予測を超えた橋下氏の圧勝に世界のメディアも日本の目覚めとして注目している。

橋下氏の言動は、「独裁者」とも非難されるように日本に馴染まぬ違和感を覚える層もある。同時に閉塞感漂う日本の空気を一新する待ちに待った「希望ののろし」として歓迎する層もある。

革命とは権力構造や社会的構造が短期間に遂行されることである。戦後の政治体質と新しい変革を求める政治の二つの勢力が拮抗しているのが今までの日本の現状であった。今回の「大阪維新の会」の勝利で、大阪から日本を変革するパワーが生まれたのではないだろうか。

ぼくは、この大阪のパワーこそ真の日本の将来のあるべき理想像だと思う。何故かというと、敗戦後の日本は、マッカーサーをはじめとする米国の戦略により日本人の特性が生かされないシステムにより縛られてきたからであり、それが大きく変化しようとしているからである。では、世界でも稀なる日本の特性と欧米の特性の違いとは何なのであろうか。

ヒントは、スティーブ・ジョブズ氏の考え方・生き方にある。ジョブズの自叙伝から一部引用する。「西洋の合理的思考は人間が生まれながらに持っているものではなく習得するものである。東洋には、直感や洞察を重視する仏教の教えがある。論理的分析よりも直感的な理解や意識の方が重要だと思う」。アップルの成功は、ジョブズ氏の禅の思想にあるのである。

戦前の日本の教育、いや6世紀半ばに仏教と儒教が大陸から伝来し、400年の貴族社会を経て、武士道を重んじる武家国家による教育が日本の奔流の教育である。敗戦まで日本の教育のバックボーンは、仏教、儒教、武士道、神道であった。戦後、我々がずっと信奉してきた西洋の合理的思考を基本とする教育は、日本の本来の教育と大きく異なっていたのである。

日本人に馴染まぬ論理的な教育を受け、優秀な成績を修めた官僚や政治家が日本の舵取りを戦後担ってきた。彼らの特徴は、明確なビジョンがないことと、独自の言葉で語らず文章を読むことである。翻って、橋下氏の言行は、日本の特性、すなわち感情豊かな知的直感に満ち溢れたところに魅力があると考えられる。

海外で長く住み異文化の交流に接してきて習得したことは、その民族特有の優れたオリジナリティーが不十分では相手に尊敬されないということである。加えて、相手の優れたところも習得するという柔軟な姿勢が必要であると考える。従って、今日の日本に求められている大切なことは、ジョブズ氏も述べている西洋の論理的思考方法よりも直感的な東洋の思考方法に重きを置くということだと考える。論理的思考は、集中して勉強すれば身に付く。しかし、直感力は、人間の内から湧き出るメッセージを素直に生かすことで磨きがかかるという本質的なものである。

戦後の日本という国は、米国の傘の下で急激な経済発展を成し遂げたが、平成時代に入り、その反動の嵐に見舞われている。いよいよ、その流れを変革する時が到来したようである。想えば、米国のコンピュータ産業に革命的なイノベーションをもたらしたジョブズ氏と大阪から革命を起こそうとしている橋下氏は、何か不思議な共通点があるように思われる。

それは、知的直感で行動するという日本の本来のあり方であるように思う。西洋の理論的思考と東洋の知的直感の両翼を活かす。ジョブズ氏から学ぶことは多いし、日本的であることが真の革命を導くと思う。世界はアジアの時代を迎えようとしている。知的直感に基づく新しいリベラルアーツがより明確なビジョンを構築し、明治維新以来の革命が2010年代に到来すると予測する。

11 月 24

通貨の変動は、想像以上に激しい。40年前のニクソンショックまで1ドルは360円、最高値は75円32銭、円高トレンドが続いている。360度である円が拡張され、ドルの価値が5分の1に収縮したのである。ニクソンショックによりブレトンウッズ体制が崩れ、スミソニアン体制に変わったり、また固定相場制から変動相場制に移ったり、さらにプラザ合意により大きく円高に誘導されたのである。それは明らかに戦略的になるべくしてそうなったのである。

リーマンショック前、1ドルは、110円辺りで推移していた。それが、みるみる内に円高に拍車がかかり、ドルの価値が8年前のドル高に比べ半分近くに落ちたのである。米国が戦略的に金融・財政政策を発動させなければ自然発生的にこのような変動が起こるとは考えられない。円高に誘導された本質はどこに起因しているのだろうか。

第一に、マネーサプライが気にかかる。ドルとユーロの供給量に比較し、円がその半分以下になっている。お札を無造作に増刷すればその通貨の価値が下がる。基軸通貨であるドルとユーロは、リーマンショック以来の2倍程度増刷された。財政支援策として急激に刷られたのである。当然のことながら相対的に円の価値が上昇する。

現在、ドルの市場流通量は、2兆ドル、円は100兆円である。単純に考えるとマネーサプライの需給の関係では、1ドルは、50円となる。8年前、1ドル135円であったので、135円と最高値の75円の平均をとればだいたい100円である。100兆円の円を増刷し、円の流通量が200兆円になれば、自ずと100円辺りに戻ると考えられる。

日本の経済は、失われた20年と言われ 中国に世界第二の経済大国の地位を譲ったが、まだまだ底力は、相当なものである。また、円換算で経済成長を観れば、成長率は停滞しているよに見えるがドル換算では、かなりの成長率のように誤解してしまう。

戦略的に為替変動が操作されている状況においては、通貨が強いからといってその国の経済が強いとは考えられない。世界の基軸通貨がドルに続きユーロであり、加えて、円が評価されているなら、ドルとユーロと円が勢力均衡する金融政策をとることにより、円の独歩高を回避することが可能となる。それは、円の量的緩和策であり、ドルとユーロに協調しながら円を増刷することである。

第二に、現在の世界経済危機は、米国と欧州の財政破綻に端を発している。日本もギネス級の財政赤字を抱えているが相対的にみて東アジアの経済圏にある日本の不安定要因は低減される。中国の外貨準備高は、4兆ドル以上あり、ドル一辺倒であった中国の外貨準備が円などに分散されており、中国の円買いが円高を支えていると言われている。

世界経済は、北米、ヨーロッパ、東アジアの三極で構成されている。21世紀はアジア・太平洋の時代と言われているが、ドルやユーロの基軸通貨があるにもかかわらず東アジアの通貨は発展途上である。円高の一因は、将来のアジア通貨への布石とも考えられる。

第三には、米国とヨーロッパの経済が成熟しているから潜在性の高い中国をはじめとするアジア市場に浸透するためにドルとユーロの価値を下げ、輸出主導型の金融政策を目指しているように考えられる。米国はすでにゼロ金利政策を行っているので、ドル安に煽る政策としてドルの増刷を行っている。

基軸通貨が増刷しているので、それに次ぐ円が同じ割合で増発されてもハイパーインフレは発生しないと考えられる。円高でデフレのこの願ってもない状況の中で、円を増刷し、その金利が発生しない資金を東北の復興支援や原発問題に関するエネルギーの安全保障に投下する絶好のタイミングではないだろうか。ドルの流通量にあわせて100兆円が増刷されるなら、復興支援などを差し引いても国民の一人一人に50万円を分配することが可能となろう。このように円高を是正すると同時に国民に恩恵を提供する政策が望まれているのではないだろか。

10 月 03

世界の中の日本の地位は、経済、政治、社会的側面から観察しても低下している。国家が富国を 目指す時、それぞれの時代背景により「富国強兵」,「富国平和」が叫ばれ提唱されて来た。しかし、現在、新興国の勢力が増し、先進国の中でも低成長を継続している日本の存在感が薄くなっている。

このような状況の中、軍事力、経済力といった弱肉強食のハードパワーでなく、もっと本質的な国家という概念を超えたところにあるパワー、すなわち、人類全てが共有でき、異文化を超えて互いに尊敬できるパワーを推進すべきだという考えがある。冷戦後の20年は、漂流の時代であったが、これからは、「富国有徳」を持って、世界の中の日本の地位を確立するとのビジョンに魅力を感じる。

海外生活で多種多彩な異文化に接し、文化を押しつけることにより対立が発生するし、「郷に入れば郷に従え」だけでは、異文化交流に発展しない。文化という「ソフトパワー」を異国の地で活かすことは、簡単でない。そこに宗教とかイデオロギーとかが絡めばことは複雑になる。

日本人が備えている有徳とは、一つの宗教に固執しない多神教的な、ある意味では、「曖昧」ではあるが、対立より調和を重んじる考え方ではないだろうか。また、日本人の有徳とは、複雑なものでなく歴史の中で築かれてきた日本人が本来備えている世界まれなる生き方だと考えられる。そこで、日本人が「富国有徳」として、世界の中の日本の役割をどのように演じて行くことができるのだろか。

先日、パリで和洋折衷の和食(日本食)の店を出し成功している日本人の友人と会った。日本に本拠地を置きながらも、毎月、パリに赴いている。最近では、パリの和食のレストランのシェフの9割は、日本人でないという。寿司、焼き鳥、天ぷらなどの日本の食の文化がグローバルに人気を博しているが、和食といっても日本人が不在なのは問題である。友人が頻繁にパリに赴く目的は、真の和食を持って、食の中心パリで チャレンジすることにある。

昭和の時代には、企業人をはじめファッション関係者も、和食の板前さんもマネジャーも情熱を持って海外に雄飛しようとする日本人がたくさんいた。それに呼応して世界で和食が急速に広まり、生の魚などほとんど口にしなかった外国人が、高価な寿司をステータスのように食するようになった。そして、現在では、外国人による和食レストラン運営が主流になっている。

胃袋をつかんだ食の文化は強い。フレンチ、中華、イタリアンなど、世界のどこに行っても接することができるし、日本でも外食の主流となっている。また、日本の和食の店でもワインやビールが増え、日本酒のシェアが食われているという。前述のパリの友人は、パリの和食レストランにて日本酒の地酒を本格的に普及させようと考えている。努力なくして日本酒のシェアは、減少する。蔵元がもっと本気になって地酒を海外に売り込む努力が必要だという。

ソフトパワーには、日本のアニメ、マンガが主軸となっているが、食や酒という胃袋を満たす食の文化、すなわち、和食こそ日本のソフトパワーの本質ではなかろうか。パリ、ニューヨークといった世界の大都市のみならず、多極化する世界において和食や地酒を根づかせる。それも単に普及させるのではなく、「富国有徳」という日本人による日本のソフトパワーで日本の存在感を浸透させる。円高のご時世、和食の海外投資のチャンスではないだろうか。美味しく、健康な食の普及こそ、世界の誰もが対立することなく平和になる最高の異文化交流でありソフトパワーであろう。

8 月 17

日米同盟は、日米の平和構築のための安全保障である。しかし、日本は核のメルトダウンと米国は財政のメルトダウンを起こし、日米が揃って世界の悪役になっている。核問題も金融問題も人間が創造したエゴにより発生した人工的な出来事である。地震や津波は、大自然の摂理であり防ぐことは容易でないが、核問題も金融問題も必ず人類の叡智により解決される類いのものである。

昨今の為替の変動や株価の低迷が世界を震撼させているが、その本質はどこにあるのか。出来事や結果には、原因がつきものである。しかしながら、内外のメディアの論調を見てみても米国債のデフォルト問題、米国債の格下げ、日米欧の財政赤字問題が主流であり、本質論に欠ける。アメリカ経済に詳しいビル・トッテン氏は、市場経済の限界と金融のギャンブル化を懸念し、トービン税の必要性を唱えている。

80年以上前に大恐慌が発生した。その教訓として、銀行と証券会社の経営を分離するというグラス・スティーガル法が制定された。しかし、ゴールドマンサックスの会長、クリントン政権で財務長官を歴任したルービン氏等が中心となり、金融の自由化という名目でグラス・スティーガル法が廃止され、金融のギャンブルとも例えられるデリバティブ(金融派生商品)が発生し猛威を奮ったのである。

その額は、全世界のGDPの約3倍である。また、一年間の外国通貨の取引額が一年間の製品やサービスに関する世界貿易額の36倍にも上っているのである。詳しくは、世界貿易(海外旅行も含む)に必要な金額は外国為替全体のわずか1% に過ぎない。残りの99%は全く博打のために取引されているのである。

要するに、実体経済と大きく乖離した非実体経済により世界の経済が投機で操られているのである。金融業界のインサイダーが金融行政をコントロールしたことにより始まった経済のカジノ化が、一国の経済、例えば、投機家が投機により超円高や超円安により年間予算が100兆円に満たない日本経済をコントロールすることも不可能でないのである。

経済や金融のギャンブルが生み出された背景には、日本のゼロ金利政策がある。昭和から平成に変わると同時に、ベルリンの壁が崩壊し米国の共産封じ込め政策が対日経済の熱戦の経済戦略にシフトされたのである。安全保障の観点では日米の同盟であっても経済の面では、日本の莫大な米国を脅かす巨額な資金を戦略的に日本から米国に移動させたのである。日本の増えた預金と減った貸し付けを合わせた220兆円。その巨額資金が、米国に流れたのである。日本のゼロ金利政策により、日本の銀行は、日本の企業や個人に貸し出しをするより、海外の国債を買ったり海外に投資をしたりする方が、より早く利益を得ることができたからである。

サブプライム問題は、ゼロ金利でも日本の銀行に預金をするという日本人の金融に対する無知が多少なりとも影響していると考えられる。

1981年にノーベル経済学賞を受賞したジェームス・トービンは、為替投機の抑制のために外国為替取引に対して定率の税を課すトービン税を提案している。毎日36兆円売買される日本円の外国為替に1%の税金をかけるだけで、日本政府は年間132兆円の税収を得ることができるのである。

現在の国税と地方税を足しても100兆円である。消費税を1%上げても2兆円である。経済の不安定要因の本質は、金融のギャンブルにある。投機を抑制することにより、世界経済は実体経済で動く。市場経済には限界がある。故に、余りにも無謀な投機による市場経済を抑制するトービン税の導入により、日本経済の復興と世界経済の秩序が構築されるのである。日本は余りにも急速に資金を蒸発させたが、トービン税の導入により、それを取り戻すことができるのである。

7 月 20

地震ベルト地帯が集中する日本は、原発事故が再発する可能性が高い。よって、原発反対である。また、福島原発の事故直後に被害の深刻さを訴え、最悪の事態に対応すべきだと主張した欧米のメディアは、多くの日本のメディアより真実を報道したと考えられる。イメージ図

 現在、日本のメディアは、市場に出回っている福島産の牛肉が放射能汚染されているという理由で出荷停止を伝えている。政府の発表を伝えるのは、メディアの役割である。しかし、放射能汚染や内部被爆は、どの程度のスケールで危険であるのか、いささか疑問である。

 というのは、冷静に考えてみると、原発事故最悪のレベル7のレッテルを貼られた福島原発事故で命を落とした犠牲者は、知る限りではゼロである。例えは、極端であるが、アフリカの開発援助の仕事に従事した時、マラリアの予防のためにクロロキンを服用した。半年以上服用することにより、人体に悪影響を及ぼすということで、服用を辞めることで、マラニアにかかった。振り返れば、かなり過酷な状況の中で、アフリカの開発援助を行ない、人体に悪影響を及ぼすリスクは極めて高かった。明らかに、放射能よりリスクは高かった。

 放射能は目に見えないし臭いもなく、放射能の探知機を使用しても人体に悪影響を及ぼす正確な数値を把握することは容易でない。また、チェルノブイリ等の事故例は存在するものの、放射能のリスクはまだまだ未知数である。

 再度強調しておくが、筆者は、原発反対である。しかし、福島周辺の農林水産関連の風評被害が拡大する状況の中で、他の要因で命を落とす比較において、放射能汚染の危険値を考察することも重要であろう。例えば、年間、3万人以上の自殺者があり、3・11以降、急激に増加している。

 放射能汚染された農産物は、人体に悪影響を及ぼす量に達してなくても放射能汚染アレルギーにより消費者から敬遠されている。恐らく、牛肉だけに終わらず他の畜産や農産物にも風評が広がり、安心、安全とされた国産の農産物から海外産の農産物へのシフトが円高の影響もあり進むように考えられる。

 異常なまでの放射能アレルギーが蔓延する中、自然界にある放射能は、身体に良い。という論調もされてはいいのではないだろうか。鳥取県の三朝温泉に何度も訪れた。三朝温泉は、ラジウム、ラドンの世界有数の放射能温泉であり、何百年と療養温泉として栄えてきた。事実、三朝の湯につかれば、肌も生き生きするし、身体に良いことは確かである。

 専門家でないので、自然界に存在する放射能と原発の放射能の違いは、分からないが、放射能を完全に悪だと決めてしまうのも問題があるように思う。人体には免疫があり、場合によっては、放射能が人体にプラスに働く可能性もあるのではないだろうか。

 恐らく、このような論調は皆無であると思われるが、目にも見えなく臭いもなく、人類史上最悪の原発事故だと言われる福島原発事故で人命が失われてない、いや風評の割に現実的な被害が見えない事実を冷静に観察するという多角的視点も必要だと考えられる。

 政府は、福島の農産物は大丈夫だとのパフォーマンスを披露したのは最近のことである。
にもかかわらず、稲わらからセシンム汚染された牛肉の問題により福島産の農産物の風評を広めている。振り子が極端から極端に振れるという日本の特徴が顕著な状況の中で、あえて、自然界における放射能の効用も伝えたく思う。

6 月 02

 書店に並ぶ「もし高校野球の女子マネージャーが、ドラッカーのマネジメントを読んだら」という「もしドラ」の本を見て、直ちに大学の講義で、ドラッカーの実務的な経営戦略をベースに、就職難から国難まで様々な難題に打ち勝つためのディスカッションを行った。イメージ図

 500人の学生が履修する講義では、学生の集中力を維持させるのは、容易でない。しかし、「もしドラ」を学生が直面する就活という現実に置き換えて学生が主役となる講義を行ったところ、想像以上のインパクトがあった。つまり、教育で重要なことは、世界に通用する恒久的な法則を習得し、豊かな人生をおくるために必要となるビジョンやシナリオを学生自身が考える点にあるのではないだろうか。

 改めて学生の立場で現在の日本経済の状況における就活を考えてみると厳しさが実感できる。戦後の日本の経済発展の変遷を経済復興期(1945-1954)、高度経済成長期(1955-1976)、経済安定期(1977-89)、構造改革期(1990-現在)の4つに分類すると、復興期においては、米国の対日経済支援や朝鮮戦争特需の恩恵を受け、経済成長期においては、重化学工業や輸出主導型産業の進展が所得倍増計画の実現に貢献し、経済安定期においては、二度の石油ショックや米国経済の危機に伴う変動相場制への移行やプラザ合意による極端な円高の洗礼を受け、国際分業による工場の海外移転が加速された。そして、構造改革期においては、産業の空洞化が加速され、それを予防する政策として莫大な国債が発行され内需景気刺激策としての無駄な公共事業が行われ、GDPの2年分以上の借金を抱えてしまったのである。

 昭和から平成に変わり20年以上日本の経済発展が劣化が継続している。追い討ちをかけるように3・11の自然災害と原発事故のダブルの悲劇に呪われたのである。戦後最悪の状態であり、学生にとって夢と理想が吹っ飛ぶ程に現実は冷たいのである。

 そこで、ドラッカーのマネージメント戦略の登場である。会社の目的は、顧客を創造すること。顧客が必要なのは、生産性の向上をともなったマーケティングとイノベーション。事業の姿を具体的に考えるために、マーケティング、イノベーション、経営資源、生産性、社会的責任、費用としての6つの視点で考える。

 日本の社会的ベクトルは、少子高齢化社会において、「幸せと豊かさを実感できる社会システムの構築」にあり、経済の成長ベクトルは、地球環境問題、ITの進展、グローバル化の進展、ライフサイエンス、農業の分野にある。従って、日本経済の停滞をブレークスルーするのは、これらの分野をドラッカー的にマネージメントするかにある。学生は、これらの前提条件を基本に学生の柔軟な発想で、企業のリクルートする側を驚かす刷新な青写真を描くことで、就職難の世の中に一抹の光を見出すことが可能となると考える。

 その参考になるのが、先日、参議院の公聴会で、脱原発とメガソーラーをはじめとする自然エネルギーの実用的で商機のある大胆な提案を行ったソフトバンクの孫社長である。ドラッカーの経営戦略と孫社長のビジョンが見事に重なる。既得権益や前例など悪しき慣習をぶち破り、大胆な発想が受け入れられる面白い現代社会が到来しており、学生にもチャンスがあるのではなかろうか。

<参考文献>
・もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら 岩崎夏海 (ダイヤモンド社刊)
・マネジメント[エッセンシャル版]  P・F. ドラッカー、 上田 惇生 (ダイヤモンド社刊)

4 月 04

10年前の9・11は、国際テロにより米国と世界が動揺した。現在、3・11の地震と津波による自然災害に加え、人工的な要因が起因する原発事故により、世界は、日本に注視し、同情し、協力しようとしている。ユーラシア大陸の東の果ての列島日本は、今までに幾多の自然災害の試練に耐え、それが日本のバックボーンとなって来た。また、世界で唯一、原爆という洗礼を受けた日本は、軍事を放棄し恒久平和を希求する国家に成長した。イメージ図

 日本人は如何なる困難な状況に於いてもそれを超越するDNAを備えていた。ならば、この現在進行形の未曽有の大惨事に於いても、最も賢明でスマートな解決策並びに復興への処方䇳があると確信する。しかも、原発事故という地球のエコロジーに多大な影響を及ぼす問題に於いては、全世界の叡智を結集した敏速な対応が不可欠であり、まさに日本は今、命運を決定づける分水嶺の真っただ中にある。以下、復興のための7つの方策を考察する。

1・国際協力
 世界史に於いても自然災害の支援で、これ程、短期間で世界の大多数が一国のために国際協力の手を差し伸べたことがあったであろうか。特に、米国は、「トモダチ作戦 」を展開し、国連は、地震発生の同日に英語と日本語で日本支援へのメッセージを発した。また、周辺諸国の韓国、中国、ロシアは、歴史認識や領土問題などの温度差があるにも拘らず、いち早く支援を表明した。日本を取り巻く国際情勢は、大震災の災いが転じ、最も良好な国際環境にある。自然災害を通じた戦略的な互恵により、新たなる安全保障の構築も考えられよう。

2・政治への影響
 失われた10年や20年は、政治の混乱による処が大である。表層的には与野党の対立も観られるが、本質的には、難局を乗りきるために「オールジャパン」としての政治の求心力が発生している。戦後、日本が精神性に於いても最もまとまっている。

3・経済的影響
 復興支援に必要とされる予算は、約20兆円だと予測される。政府債務残高がGDP比230%に達する異常事態において国債で復興支援を賄うのは多大なリスクを伴う。間接税として、復興支援のための限定的な消費税を導入することが具現化されることにより、財源が安定し、復興支援を通じた経済刺激策として世界は評価するだろう。欧米にはチップという制度があるように、消費税に抵抗があるなら、飲食時に、復興支援のための限定的なチップに類似した10%のサーチャージを課すのも一案である。

4・エネルギー戦略の転換
 地震ベルト地帯が日本列島に集中している。いくら日本の高度な原発の技術力を持ってしても、自然災害への対応が困難であるのが現実となった。日の丸という日本の国旗が日本のアイデンティティとして明示しているように日本は、徹底的に太陽エネルギーを推進する好機であろう。

5・節電
停電による経済のマイナス要素を回避するために、夏場に向け、極端なサマータイムの導入や、電力の節約につながる週末を含む最も効率的な企業活動を行い、電力の節約に貢献した家庭や企業には、特典を与えたり、貢献しなければペナルティーを課すこと等、あらゆる方策を実行する。

6・復興のグランドデザイン
 宇宙から映し出されるリアルタイムの地球の映像を観ながら「世界の中の日本」としての東北地方の壮大な空間開発計画を描く。それは、津波を防ぐ為に高い防波堤やコンクリートで固めるという発想でなく、自然との共生を重視した農林水産業プラス最先端の技術の集約という挑戦である。

7・政治、経済、安全保障を包括するグローバルな戦略的互恵
 福島原発事故は、日本というフレームを超えた一蓮托生の問題である。世界の叡智を結集させた戦略的互恵に基く国益、地球益のための広くて深い日本の政治、経済、安全保障を包括したビジョンを構築しなければならない。

http://fm797thinktank2.seesaa.net/

3 月 09

ソーシャルメディアのつぶやきに端を発した中東の民主化のうねりは、アラブ全土に拡張する勢いである。通常ならアラブの不安定要因は、イスラエルやアメリカに向けられるのだが、今は、独裁政権に向けられている。その根拠は。そして、その影響でどのようなプラスとマイナス面が発生するのだろうか。更に、中東のうねりは、アジアの独裁国家、北朝鮮にも飛び火するのだろうか。イメージ図

 ニューヨークタイムズのトーマス・フリードマンの分析は面白い。オバマ大統領のカイロ演説が、中東の民主化に影響を与えたと述べている。オバマ大統領のミドルネームは、フセインである。イスラムの血を引き継いでいる黒人なのである。このような人物がアメリカの大統領になれる程、アメリカの民主化が進んでいると認識したアラブの若者が民主化のきっかけを生み出したのである。また、インターネットのGoogleアースでつぶさに世界の発展や住宅事情を観ることができる。アラブの若者たちは、アブダビとパレスチナの貧富の格差を認識し、独裁政権への不満が爆発したのだと展望している。

 アラブ世界の3つの幕大な赤字は、教育の赤字、自由の赤字、そして女性の権限に関する赤字である。石油という歳入がある国は、富が一部の権力に集中するし、生活のために何もする必要も無いので向上心が削がれてしまう。石油に頼れない国は、アラブ、イスラエル、アメリカの三角関係において勢力を均衡させる役割を演じ維持されてきた。

 30年、40年という恐ろしく長い独裁政権が継続する中、気がつけば、教育、自由、女性の地位という若者の自立に不可欠な要素が完全に欠乏してしまった。教育と自由がなければ雇用の創出もない。若者の人口比率が高いアラブ諸国において、王族や独裁政権は、若者が希求する仕事に対する野心や向上心に反することばかりをしてきたことが今回の中東の民主化の根拠であると考えられる。

 中東情勢の不透明感が高まる程、石油等の資源が高騰する。資源高騰で漁夫の利をまともに得るのは、ロシアや中央アジアの資源国家である。また、バーレンでは、少数のスンニ派によって抑圧されてきた大多数のシーア派が民主化に拍車をかけている。最大の産油国であるサウジアラビアに接し、ペルシャ湾の入り口に位置し、アメリカの第五艦隊の司令本部があるバーレンに政変が起これば、中東におけるスンニ派とシーア派の勢力が変革する。

 つまり、アメリカの視点では、イラク戦争で失敗し、イラクとイランがシーア派で結びつき、バーレンやひいては、サウジアラビアまでシーア派の勢力が拡張し、石油資源がイランを中心とする反米政権によってコントロールされる可能性もあるのである。

 しかし、別の角度から展望すれば、親米政権という名目で民主化が抑制されてきたアラブ諸国が崩れ、新たな政権が生まれ一時的な混乱が起きても結局は、中東におけるイスラエルは、スンニ派とシーア派の混沌から漁夫の利を得ることができると考えられる。アメリカの軍民複合体もビジネスチャンスを得ることができるだろう。

 石油価格が上昇することで、いよいよ本格的なエネルギーの安全保障として、脱石油によるイノベーションが活発化すると考えられる。オバマ大統領が提唱したグリーンニューディールが具体化される可能性が高い。これは、日本が得意とする環境に優しい技術や原子力の分野の刺激策となると考えられる。中東の民主化のうねりは、中長期的には日本の利益にも結びつくと考えられる。

 独裁政権がインターネットをいくら監視、検閲してもイノベーションと抑圧された庶民には勝てぬ。歴史の必然性から考察すると、北朝鮮という稀なる独裁国家もいずれは、崩壊する。金体制が維持できたのは、アメリカと中国が北東アジアの勢力均衡型の安全保障を戦略思考したからである。

 しかし、国家という枠組みを超越した中東で発生した市民の民主化がイノベーションの波に乗った時には、北朝鮮にも革命が起こると予測する。その時に備え、エネルギーの安全保障と並ぶ北東アジアの安全保障を確立する必要がある。民主党の分裂など国内の 問題に振り回されている場合でない。今、まさに国際情勢の激動の中で、日本の役割を考察する時期が到来している。

2 月 03

チュニジアに始まった民主化のうねりが、エジプトに飛び火し、百万人規模の民主化のデモがムバラク政権を転覆させようとしている。この動きは、1989年の天安門事件やベルリンの壁崩壊に並ぶ大きなパラダイムシフトであり、アラブやイスラエルの中東情勢のみならず、世界中の軍事独裁政権を一掃する可能生を秘めているのではないだろうか。

その根拠として、インターネットという情報技術の進展が、市民の声を瞬く間に世界に伝達することを可能にしたことと、米国のダブルスタンダードとも考えられる非常に戦略的な外交・安全保障戦略が関連していることが挙げられる。

インターネットによる市民パワーが軍事力をも陵駕した例としてイラク戦争が思い出される。恐らく8年前の米国によるイラクへの先制攻撃までは、圧倒的な軍事力を行使した国が被占領国の市民パワーに敗北するとは考えられなかった。また、米国のマスメディアが市民という非マスコミのパワーに席巻されるとは予測できなかった。従軍メディアの如く米国のマスメディアが、民主化という正当性を掲げてイラク国民や世界に伝達しようとしても、先制攻撃されたイラク国民の目線で世界に発信されたyoutube等の現実の映像には及ばなかった。

インターネットという情報技術は、ペンタゴンの技術革新に起因している。回り回ってそのインターネットの情報技術が市民を介して軍事力をも陵駕したのである。チュニスやカイロで勃興している軍事独裁政権打倒への市民による民主化の大波は、インターネットという21世紀の怪物によって生み出されたのである。

90年近く前にロシアの経済学者コンドラチェフは、景気循環の長期ウェーブは、戦争、技術革新、貨幣の供給量(機軸通貨)、天然資源の需給のバランスによって影響されると述べている。一国で突出した世界の軍事費のシェアを占めている米国は、技術革新並びに世界通貨の面でもトップランナーである。軍事、インターネット、ドルという3つが複合的に機能するところに米国の底力があるのではないだろうか。

米国は、中東諸国に民主化の重要性を掲げているが、その民主化を推進するために国家の財政を圧迫する武器を提供している。また、一部の過激派を鎮圧するために必要以上の軍事力で威嚇している。米国の行動がダブルスタンダートと言われるのは、ムバラク政権のような独裁政権に対しても、アラブとイスラエルの架け橋としての役割に重きを置き、エジプト市民の声を無視してきたところにある。

しかし、今回のエジプトの民主化のうねりは、親米政権を擁護する状況でなく、オバマ政権は、ムバラク大統領の辞任を加速させるメッセージを送った。恐らくメディアでは発表されない外交の舞台裏で、どのような暫定政府を樹立すかかでユダヤとアラブの駆け引きが成されているのだろう。中東の求心力の要であるエジプトの内政の動向は、アラブ全体に大きな影響を及ぼすであろうし、イスラエルとパレスチナの命運にも関わってくる。

ペンタゴンが開発に関与したインターネットが中東や北アフリカの市民パワーを躍動させ、親米政権の崩壊へと導いている。市民パワーの背後には、親米と反米が渦巻いている。米国のインテリジェンス機能がどのように中東を動かそうとしているのか。どのような中東情勢の変化が起ころうとも、米国の軍産複合体にとって決してマイナスにならないし、また中東諸国の政変は、イスラエルの勢力を高める好機となるのではないだろうか。