9月 11

異常な猛暑が続く中、政治も経済も社会も地球環境の異常に連動しているようだ。
世界を見回してみても、とりわけ、円高や不確実性の高い政情など日本の異常が突出している。
この異常を乗り越えるビジョンや戦略思考が今の日本に存在しているのだろうか。
シンクタンク的な思考では、「平和や安定や発展は、取るべきなり」である。
受身的な考え方では、加速度的に進展する国際情勢の変化に乗り遅れてしまう。
一昔前は、Japan as number one と世界から注目さていたのに、
今の日本は、経済力で中国に抜かれJapan as number threeになったどころか、
日本の総合力が急速に萎縮している。
そこで、現代の日本を「世界の中の日本」として多角的視点で考察してみたい。

経済に関しては、異常な円高の影響で、輸出依存型企業の業績
が悪化の一途をたどっている。
天然資源に恵まれぬ日本にとって輸出産業は日本の経済の柱である。
財政赤字に加え、イノベーションの低迷により日本企業の国際競争力が
低迷しているにもかかわらづ、円高が進行している。
世界経済の分野で熱戦が繰り広げられているとすると、
日本の経済戦略の不在が敗走へと導いているようである。

では、円高を抑止する現実的な施策として為替介入があるが、
そのような既存の小手先の行動では、本質的な是正につながらない。
そこで、異常な円高のメリットを活用して、海外の資産を戦略的に買収することが、
円高の抑制に直結すると考えられる。
一部の優良企業は、水面下でこのような攻めの企業戦略を実践している。
つまり、円高のメリットとデメリットを戦略思考することで、
危機からの脱出と進展への潮流を生み出すことが可能となるのである。

次に話題の民主党内の分裂について考えてみたい。
民主党が政権を取りはや1年が経過した。その間、二大政党制や官僚機構
からの脱却など期待はされたものの現実的には、マニフェストに掲げられた
公約が守られず、国民の不信感が募り、政権後退が著しい。

そこで、いよいよ小沢前幹事長が20年以上かけ練ってきた政治の
大勝負の幕がきられたのである。この与党内の内紛劇が、吉と出るのか凶とでるのか。
ただ、小沢氏が勝利しない限り官僚機構が漁夫の利を得ることになろう。

世界から日本の政治を鳥瞰すれば、官僚と一枚岩となり一党独裁を続けた
自民党 も民を中心に据える民主党も首相が頻繁に交替する点で同じであり、
加えてビジョンや世界に通用する戦略が欠如していることからも
世界における日本の地位低下は自明の理であると映る。

20年以上、海外で暮らし、それなりに世界の中の日本を観てきた。
明らかに、日本人の本領を発揮し少しでも世界平和のために貢献できる
国際環境の局面はあったし、また必ずその好機は到来する。
換言すると、イラク戦争にみられたように一神教同士の争いや、
近い将来に起こるだろう東西文明の衝突を調停する日本の役割は、
日本人が考えている以上に期待されているように思われてならない。
そのような能力を龍馬伝に例えるなら、薩長同盟のように
調和を推進すると同時に実利的な行動力である。

日本という国家主権を考えれば、政治や経済の分野も芳しくなく不満が充満する。
ついつい実らぬ他力本願になりがちである。しかしながら、21世紀の今日、
国境の壁が低くなり、大多数の国において市民が自由に往来することが
可能となったことを鑑みると、地球市民やコスモポリタンとして
国益を超越した地球益のための行動として
日本人のそれぞれが持つ調和という能力を発揮できるように思われる。

世界の民族的なパワーを大きく観た場合、アメリカの背後に存在する
ユダヤのパワーと中国の興隆を支える華僑のパワーが世界の中軸に
影響を与えていると考えられる。願くば、このような異なる勢力を
調和させる戦略を日本或いは、地球市民としての日本人が描き実践されることを期待したい。