4月 04

10年前の9・11は、国際テロにより米国と世界が動揺した。現在、3・11の地震と津波による自然災害に加え、人工的な要因が起因する原発事故により、世界は、日本に注視し、同情し、協力しようとしている。ユーラシア大陸の東の果ての列島日本は、今までに幾多の自然災害の試練に耐え、それが日本のバックボーンとなって来た。また、世界で唯一、原爆という洗礼を受けた日本は、軍事を放棄し恒久平和を希求する国家に成長した。イメージ図

 日本人は如何なる困難な状況に於いてもそれを超越するDNAを備えていた。ならば、この現在進行形の未曽有の大惨事に於いても、最も賢明でスマートな解決策並びに復興への処方䇳があると確信する。しかも、原発事故という地球のエコロジーに多大な影響を及ぼす問題に於いては、全世界の叡智を結集した敏速な対応が不可欠であり、まさに日本は今、命運を決定づける分水嶺の真っただ中にある。以下、復興のための7つの方策を考察する。

1・国際協力
 世界史に於いても自然災害の支援で、これ程、短期間で世界の大多数が一国のために国際協力の手を差し伸べたことがあったであろうか。特に、米国は、「トモダチ作戦 」を展開し、国連は、地震発生の同日に英語と日本語で日本支援へのメッセージを発した。また、周辺諸国の韓国、中国、ロシアは、歴史認識や領土問題などの温度差があるにも拘らず、いち早く支援を表明した。日本を取り巻く国際情勢は、大震災の災いが転じ、最も良好な国際環境にある。自然災害を通じた戦略的な互恵により、新たなる安全保障の構築も考えられよう。

2・政治への影響
 失われた10年や20年は、政治の混乱による処が大である。表層的には与野党の対立も観られるが、本質的には、難局を乗りきるために「オールジャパン」としての政治の求心力が発生している。戦後、日本が精神性に於いても最もまとまっている。

3・経済的影響
 復興支援に必要とされる予算は、約20兆円だと予測される。政府債務残高がGDP比230%に達する異常事態において国債で復興支援を賄うのは多大なリスクを伴う。間接税として、復興支援のための限定的な消費税を導入することが具現化されることにより、財源が安定し、復興支援を通じた経済刺激策として世界は評価するだろう。欧米にはチップという制度があるように、消費税に抵抗があるなら、飲食時に、復興支援のための限定的なチップに類似した10%のサーチャージを課すのも一案である。

4・エネルギー戦略の転換
 地震ベルト地帯が日本列島に集中している。いくら日本の高度な原発の技術力を持ってしても、自然災害への対応が困難であるのが現実となった。日の丸という日本の国旗が日本のアイデンティティとして明示しているように日本は、徹底的に太陽エネルギーを推進する好機であろう。

5・節電
停電による経済のマイナス要素を回避するために、夏場に向け、極端なサマータイムの導入や、電力の節約につながる週末を含む最も効率的な企業活動を行い、電力の節約に貢献した家庭や企業には、特典を与えたり、貢献しなければペナルティーを課すこと等、あらゆる方策を実行する。

6・復興のグランドデザイン
 宇宙から映し出されるリアルタイムの地球の映像を観ながら「世界の中の日本」としての東北地方の壮大な空間開発計画を描く。それは、津波を防ぐ為に高い防波堤やコンクリートで固めるという発想でなく、自然との共生を重視した農林水産業プラス最先端の技術の集約という挑戦である。

7・政治、経済、安全保障を包括するグローバルな戦略的互恵
 福島原発事故は、日本というフレームを超えた一蓮托生の問題である。世界の叡智を結集させた戦略的互恵に基く国益、地球益のための広くて深い日本の政治、経済、安全保障を包括したビジョンを構築しなければならない。

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