1 月 20

北朝鮮という世界で最も不確実性の高い国が急変している。そして日本の目と鼻の先の韓国や中国との関係が尋常でない。日本国内でもハードボイルド的な強い国家像が描かれその方向に向かいつつある。100年前に第一次世界大戦が勃発した。当時のドイツやフランスとの不安定な関係以上に核やミサイルを持つ北朝鮮の危険因子を冷静に分析すると北東アジアの動向は極めて深刻である。

地政学的変化が顕著であるからこそ変化に対応する柔軟な発想が求められる。北朝鮮の軍事国家や最近の中国のハードボイルドに対して勢力を均衡させる意味で、日本もハードボイルドな姿勢を示すことも大切かもしれない。

しかし、北東アジアの地政学的変化に乗じて安全保障の軍事力を強化するだけでは歴史は繰り返す。そこで覇権安定型、勢力均衡型、集団的安全保障の他に経済協力や文化交流を主眼とする協調的安全保障の充実が不可欠である。

相手を挑発する安全保障の他に、尊敬されることにより国家の安全を保障するという新たなる発想を考察する必要がある。

永世中立国であるスイスやオーストリアは、国連機関を誘致している。国連の第三都市であるウィーンの国連機関に勤務した時、ウィーン市は近代的な国連ビルを年間1シリング(10円)で提供していると聞いた。国連ビルを提供し国連職員を優遇することにより、大規模な軍隊を編成するより他国の侵略や核攻撃から守ることが可能だというのが冷戦中の永世中立国の考え方であった。優秀な外国人が多くいるほどそれらの人々が捕虜と同じ役割を果たし敵国からの核攻撃を軽減させることができる。この発想こそ新たなる安全保障となるのではないだろうか。パリのルーブル美術館やロンドンの大英博物館も人類にとってユニーバーサルな世界遺産と考えられ核攻撃の可能性を軽減することにつながる。

同じ発想で東京オリンピックの効用を考えてみれば面白い。オリンピックという一過性のイベントとして終わらせるのでなく、世界の叡智を結集して現代建築のフロントランナーとなるスタジアムや都市設計を創造する。人間に最も適した建物と環境が「国際公共財」として機能することによりオリンピックレコードが更新され「スポーツの都・東京」としてのブランドが生まれる。

東京オリンピックが終わった後も、世界中のアスレートが東京に住みスポーツ関連のビジネスが創造され健康のためのイノベーションが生まれる。魅力的な建築や都市設計だけでなく世界トップクラスのオリンピック選手が居住しビジネスが生み出されることにより世界から尊敬され核攻撃の脅威を軽減させることになるのでないだろうか。

中国の軍事費上昇は勢力均衡型の考えから脅威であり、集団的安全保障という日米同盟の強化につながる。日本が米国に頼らず独自の安全保障を構築することも北東アジアの地政学的変化を鑑みると重要である。

百年前の第一次世界大戦勃発から日本は国際協調主義も軍国主義も経験し、世界で唯一核戦争の犠牲となった。日本しかできない世界から尊敬される安全保障がきっとあるはずである。

積極的平和主義や軍事力の強化が叫ばれる今こそ、オリンピック開催にあわせ日本から世界へ発信し、世界から尊敬される安全保障について真摯に考えることが大切である。それは一過性のオリンピック開催というミッションでなく、人類の叡智を結集した国際公共財が平和を構築するという積極的平和主義である。軍事費に莫大な資金が使われるより世界を圧倒する建築と都市設計に資金が有効活用されることを期待する。