10 月 03

最近の学生は昔と違って真面目である。と感じる。厳しい就職戦線がそうさせているのだろう。大学のゼミ生の立場になって現実を考えるにあたり、僕の学生時代にはどんなことを考えていたのかを振り返りながら今を考察したく思う。

なぜか僕は、小学校のときから日記にそのときに感じたことを書く習慣を40年以上継続している。几帳面とは程遠い性格だが、僕にとっての日記とは、誰にも見せない未来の自分に向けたメッセージであると考えている。

大学4年の就活活動真っ只中、明日、会社の面接試験を受ける日の前の晩に書いた短いエッセイを見つけた。32年前の文章であるが、原発反対、大地震、テロ、ソーラーエネルギーなど、恐ろしいほど当たっている。国連機関や日米のシンクタンクで勤務しながら、それなりに研究に没頭したのであるか、何も経験のなかった学生時代に描いたエッセイが不思議と最も説得力がある。

以下、32年前に考えたことである。会社の面接試験のためのエッセイである。

「今、最も社会が必要としているのは、エネルギー確保の問題である。資源を輸入に頼っている我が国としては、いかに早い時期に化石燃料に頼る割合を減少させ、代替エネルギーを開発するかにある。

我々の年代は日本の将来のターニングポイントにとって最も重要な役割を担っている。なぜなら2000年を迎えた時、代替エネルギー依存の割合が化石燃料を上回り、ソフトエネルギーの時代が到来すると予測されるからである。

私が考えるには、原子力の推進は世界を滅亡させると思う。今は、過渡期の段階として化石燃料でつないでいるが、今のエネルギー政策は中央集権的な構造のもとに行われていることが問題だ。

もし、大地震が発生した場合、電力設備が破壊され、経済が混乱し、エネルギー確保ができなくなる。いや、それより最も恐ろしいのは、一部のテロリストにより、中央集権的なエネルギー設備を破壊された時、どうなるかということである。

これら最悪の状況に対応するためには、個々の家庭にソーラーエネルギーシステムなどを取り付けエネルギーを分散させ、災難に対処できる柔軟性を有しておくことが大切である。

貴社が行っておられる多角的経営の一環として環境整備の開発は、日本の将来、世界の未来を平和に導くものと確信しております。私のイデオロギーの確立といっても、まだ机の上の学問にすぎません。これら学生時代の養った知識を実践で発揮できる日を一日でも早く望んでいます。」

今日でも原発は世界を滅亡させるとか、大地震が発生したした場合の中央集権の問題、原発施設をターゲットとした国際テロの恐怖、ソーラーエネルギーの必要性など、これほど素直にストレートに描写したビジョンになかなか巡り会うことはことはないと思う。

経験も知識もなく、ただただ直覚に従い描いたビジョンが多かれ少なかれ的を射ていると今思う。未来への自分へのメッセージが教えてくれたことは、学生と真摯に接すること、そして学生の素直な考えには多くのメッセージがあるということである。

冒頭に今の学生は真面目であると書いた。講義の出席率も昔と全く違う。でも、昔のように大胆に発想し、行動する学生が減っていると感じる。就職戦線を勝ち抜くためには、当然のことながら真面目も大切であるが、時には例外的な発想も幸運な偶然を起こす要素になるのではないだろうか。

大学の講義では、現在進行形の問題にタックルしながらも世の中を支配する常識に固執することなく大胆な世の中を良くする発想をバックキャスティング(目的を定めて将来を予測する)でThinkしてみたく考える。グローバリゼーションの波に乗った柔軟性を有しているかどうかが就活の幸運な偶然を呼び起こすと考える。